ボバース概念とは

About Bobath

ボバース概念は第二次世界大戦中のイギリスにおいて、当時の神経リハビリテーションでは対応の難しかった痙縮の強い成人の脳卒中患者や脳性麻痺児へのベルタ・ボバースとカレル・ボバースによる治療介入から始まり、70年以上にわたり発展し続けています。

この治療概念は、現代の身体運動学と神経科学、神経学的病態生理に基づいて、機能的運動の回復と可能性を最適化するための包括的(障害の程度・年齢・性別などの制約はなく)で個別化された(各個人に合わせた)治療アプローチであり、神経病理学的状態が人全体に影響するという理解に基づき、機能的な運動分析のための枠組みを提供します。

治療介入は効率的(定型的)な運動の回復に焦点を当て、非効率的(非定型的)な運動と代償運動を最小限に抑えることを原則にしています。神経学的病変に起因する運動の問題は、発症前後での各個人の生活経験に影響されることを考慮する必要があります。
そして日常生活や社会参加を強化するため多職種による24時間のチームアプローチに重点が置かれます。

ボバース概念における機能的運動分析は、姿勢制御、選択運動および認知/知覚プロセスの相互作用に対する感覚情報の影響を考慮します。そして体幹と頭頸部の制御も、上肢と下肢の制御と同様に重要視されます。

運動パフォーマンスの質は、姿勢制御と選択運動の統合、すべての身体各部位の活動的なアライメント、および感覚情報を受け取り、統合し、反応する能力に関して評価されます。

ファシリテーションはボバース概念の臨床的スキルであり、治療ハンドリング、環境および言語を用いて、感覚情報に影響を与え、運動回復につなげる治療戦略です。そしてファシリテーションに対する患者さんの反応により、治療展開に必要な臨床推論に影響を与えます。

日本におけるボバース概念の発展は、1970 年代に紀伊克昌氏がイギリスで行われたボバース夫妻の講習会を修了し、1973年に大阪にてボバース夫妻による講習会が開催されました。現在まで国内では3万人を超える療法士の方々が、各種ボバース講習会を受講しています。